Apple Pencil もどきを買って日本語の手書き入力を試したら、「Who wants a stylus?」って思った。

こんにちは。ちゃーりーです。

以前より、2000円から3000円で買える、Apple Pencil の類似品があるんだという事に気づいて興味を持っていたんですが、最近ようやく買いました。

iPadOS のバージョン 14 では、文字入力が可能になる scribble と呼ばれる、Apple Pencil 及びその類似品を使って手書きによる文字に入力が可能となりました。
しかし、対象の言語が、英語と中国語だけであり、日本語には対応しないのだなと思って頭の片隅に留めていました。
で、最近 iPadOS のバージョンが 15 になりました。このタイミングで、 scribble を用いた日本語入力が可能となったという情報を見かけました。

2021年に実現された、手書きによる日本語入力とはどんな感じなのかというのが気になったので、Apple Pencil の類似品をようやく購入し、試してみました。
そしたら、なんだかものすごい違和感を感じるとともに、その違和感を共有したくなったので、頑張って文章に書き起こすことにします。

なお、購入したものはこれです。似たような製品は amazon でたくさん見つかります。どれが良いのか、というのはわからないです。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B099RGJ39Y/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

Apple Pencil の類似品とはなんなのか

ここまで、「Apple Pencil の類似品」という書き方を何度かしています。
でも色々調べてみた感じ、多分これらの類似品は Apple Pencil の直接の類似品ではなく、Apple から公式に認証を受けた Logicool Crayon という製品と同等の機能持っているような気がします。
理由は、Logicool Crayon と 2000〜3000円で買える Apple Pencil の類似品は、いずれも以下の特徴を持っているためです。

  • 筆圧検知はない
  • 3段階の傾き検知で線の太さなど変更可能
  • きちんと調べていないけれど、対応している iPad の機種が共通している

おそらく、 scribble の扱いについては、Apple Pencil も Logicool Crayon も Apple Pencil の類似品も、同様の機能を利用可能であると考えられ、以下の文章の内容には影響しないため、以降は Apple Pencil という書き方にまとめます。

scribble による日本語の手書き入力を試してみた

テキストエディタやブラウザのURL欄など、従来ソフトウェアキーボードなどで入力可能だった箇所に、Apple Pencil で日本語を書くと、書いた文字を検出して、テキストエディタやブラウザのURL欄などに入力してくれました。
でも、少し使っただけでも、良くない点がいくつも思いつきました。

文字の認識ミス

複数の文字をまとめて入力すると、文字の前後関係や、記入された文字の大きさがより明確になる、といった理由で認識の精度が上がるような気がしました。1文字だけ書いた場合には認識が失敗する場合が多い気がしました。
かんたんに言うと、罫線等の文字のサイズの基準となる情報がないノートに対して、単に丸を1つ書いた場合、その丸を書いた人が「○」のつもりで書いたのか「。」のつもりで書いたのかを見分けることは、人間でもできないはずです。なので、そのあたりは scribble も盛大に間違えます。

画数の多い文字は入力が面倒くさい

例えば、「複雑」という文字を scribble で入力しようと思うと、「複」も「雑」も14画であるため、合計 28 回の入力が必要になります。
キーボードでローマ字で入力をしたとすると 「hukuzatu」と打つことによって入力できます。人によってはスペースで変換をしたり、それをenterキーで確定したりすると思いますが、おおよそキーボードを10回叩くと入力ができます。

どう考えてもキーボードで入力したほうが楽な気がします。

Apple Pencil を手に持ってないと入力できないから面倒くさい

スクリーンキーボードを使って文字を入力するときには、指で入力ができます。
しかし、scribble による入力を行うためには、事前に Apple Pencil を手に持っておく必要があります。
そして、机のない場所で入力を行うためには、iPad mini であれば 300g 程度、11inch くらいの iPad や iPad Pro であれば 500g 弱の本体を、反対側の手で、片手で持っておく必要があります。

この体制は継続的に取りつづけるのは辛いんじゃないかなと思います。
iPad を片手で持つのが辛いから事前に机などに置くようにするのなら、もう、普通に物理キーボードで入力する方が良さそうです。

scribble を使い続けたいとは「自分には」思えなかった

上記の理由で、物理キーボードやソフトウェアキーボードから、ローマ字入力なりフリック入力なりをするほうがよっぽど効率は良さそうだと思いました。
少なくとも自分にとっては。

「Who wants a stylus?」

ちょうど、1ヶ月くらい前に youtube で iPhone の発表当時、2005 年のスティーブ・ジョブズによるプレゼンテーションを見かけたので、一通り見てしまいました。
Apple Pencil を用いた scribble を試しながら、このプレゼンテーションのことをふと思い出しました。

スティーブ・ジョブズが「Who wants a stylus?」と言っています。
2005年にプレゼンテーションで「Who wants a stylus?」と言ったスティーブ・ジョブズは2011年に亡くなり、そして 2015 年には Apple製スタイラスである Apple Pencil が発売されました。

2005年の時点で、「Who wants a stylus?」とスティーブ・ジョブズが言ったにも関わらず、なぜ Apple Pencil が発売されるに至ったのだろうか、という疑問には当然行き当たります。
Apple Pencil をつかって scribble をまどろっこしいと思いながらも使い続けていたら、Apple は誰がスタイラスを必要としているのかの答えを見つけたのではないかという気がしてきました。

2005 年の Apple と 2021 年の Apple

上記のiPhone のプレゼンテーションが行われた 2005 年当時は、スマートフォンはまだまだ新しいものでした。
日本では多くの人がガラケーを使っていたように思いますし、日本の中で比較的流行ったような気がする W-ZERO3 シリーズの発売は2005年末です。
スマートフォンという概念自体が新しい時代でした。
初代 Macbook Air の発表は翌年の 2006 年であり、いわゆるノートPCのセグメントで Apple が存在感を示すのはもう少し先の話です。
Apple 製品は、2005 年時点では、イノベーター理論における、イノベーターかアーリーアダプターを対象としたものだったと思います。
スマートフォンや Apple 製品はこのあと見事にキャズムを超え、一気に普及しました。

一方、2021年には、スマートフォンは使っている人のほうが多い状態で、かつ iPhone はスマートフォンを選ぶ際に当然の選択肢として上がってきます。
妻が最近、図書館に付属の施設で、高齢者向けのスマートフォン教室が開かれていて、その先生が「スマートフォンは2種類あって、iPhoneとAndroidです。」と説明していたのを聞いたそうです。なるほどそういう時代なのかと思いました。
iPad もすっかり普及しました。こないだコロナウイルスのワクチンの集団接種に行ったのですが、摂取する人を管理するためなどに端末は iPad PRO だったように見えました。
Macbook シリーズも、ノートPCを選ぶ際に当然の選択肢として上がってきます。
2005年から16年を経て、Appleの製品はアーリーマジョリティはおろか、レイトマジョリティにまで普及したと思って良さそうです。

「Who wants a stylus?」への答え

物理的なキーボードの入力に不慣れで、もちろんソフトウェアキーボードももちろん使えなかったような人でも、Apple Pencil による手書き入力ならできるはずです。
スタイラスによる文字入力を求めている人というのは、そういうことができない、ラガードへ分類される人であったのだろうという確信に至りました。

おわりに

長らくコンピューターへの文字の入力といえばキーボードであるってことになっていましたし、現在でも多くの場合はそうです。
でも、音声入力も普及してきていますし、今回手書き入力もほどほどに実用的なレベルで可能になったことを確認しました。

コンピューターはかつてはキーボード入力ができる人のものであり、文字入力に伴うバリアがあったように思います。

最近、うちの3歳児は、自分で alexa に話しかけて曲を聞いたりタイマーをかけたりといったことを当然のようにします。
そんな感じで、コンピューターの利用に伴う文字入力のバリアフリー化は少しずつ進んできていて、これまでコンピューターを使えなかった人がどんどん使えるようになっていくはずです。

これから先も、人間とコンピューターの関わりがどうなっていくのかが楽しみです。