ちゃーりーです。
火曜日はお休みだったのですが、
そういえば、前に「となりの関くん」というアニメの主題歌CDを買ったなぁなどと思い出し、聞いてみることにしました。
TVの放送の時点で、わかりやすいハードクリップっぽい音がして、
CDの方はどうなってるのかなーって思ったりしていたのですが、
まーやっぱりひどかった。
というわけで検証ブログでも書いてみましょうぞ。
ハードクリップっぽい音のする部分を確認してみる。
テレビで聞いても気になったのは、「毎日 大迷惑」の「ち」の部分だったので、まずはこの部分を確認してみます。
データ上、音量は控えめで、オーバーゲインによるクリップは無いように見えるのですが、
ちょっとまて!
謎の曲線が見えます。(赤線部。画像をクリックして拡大表示推奨です。)
あと、ほかのところは黒いのに、なんか右のほうに白い波形があるぞ。。?
少しDTMやっていて、マスターの波形見たことある人なら気づくと思うんですが、
普通、こういう波形はできないわけです。
これはもう、明らかにおかしいぞ。ということになります。
じゃあ似た波形を作ってみよう
こういった曲線は、いろいろ考えてみたところ、ハードクリップさせた波形を、さらにコンプレッションすることで作り出すことができそうだと気づきました。
というわけで、作ってみましょう。
まずは、キックを一発用意します。これが元の波形。
次に、これをハードクリップ(音量超過)させます。直線ができましたね。(赤線部。)
そして、さらにコンプレッサーをかけます。
うんうん、なんだかそれっぽい曲線ができましたね。(赤線部。画像をクリックして拡大表示推奨です。)
これで、ある程度説明がつきそうです。
謎の高音による迷惑スペクトログラム
先ほどから話題にしている「ち」の白いほうの波形をさらに拡大してみることにします。(画像をクリックして拡大表示推奨です。)
なんだか、波形がものすごくギザギザです。
こんなの見たことがない。白い線が上に行ったり下に行ったり凄い勢いでしてるので、引いてみると白い塊に見えたんですね。なるほど。
サンプルごとに波形が大きく上下しています。
CDのサンプリング周波数44.1kHzなので、その半分の22.05kHzの音が鳴っている、ということになります。
この部分を、スペクトログラムという、横軸に時間、縦軸に音の高さを取り、それぞれの時間にそれぞれの音の高さでどれくらいの音が鳴っているのかというのを表すグラフがあります。(画像をクリックして拡大表示推奨。)
これで表示させると、問題の「ち」のところは、表示可能な上限ぎりぎりのところが白くなっている、つまり、そこの音の音量が大きくなっているということを目で確認できます。(青丸部。)普通、こんなところが真っ白になったりしないわけです。こんな高音は大迷惑ですね。(フラグ回収)
これは、なんというか、単純なハードクリッピングによって作り出すことは出来ませんし、おそらくアナログのエフェクターによる処理でも作ることは出来ないと思います。
サンプリング周波数が44.1kHzのデジタル処理でのみ作りうる波形だと思います。
そこまでは分かるのですが、なんていうか、この22.05kHzをmixingやmasteringの過程でどうやったら作れるのかについては正直良くわかりません。
しかしここで波形を良く見てみると、実は、下に図示した2つの丸の中の形が、何となく相似の関係にあることが分かります。(画像をクリックして拡大表示推奨です。)
でも、そこまでしか分からない。もしかしたらおかしなことになる前の波形を再生することができるかもしれません。
ありそうな線としては、使ってるアプリケーションのクリッピングの処理にバグがあり、ラップアラウンドしてしまっている。とかでしょうか。この辺の検証をするには、波形ではなくてビット列レベルでデータを検証する必要があるため、結構骨が折れそうです。
ただ、なんにせよ曲を通して1回スペクトログラムを表示していれば、おかしな高音が混ざっていることには容易に気づけたのではないかと思います。
気づかなかったのなら、エンジニアはちゃんと仕事しろって話になりますし、意図的であるなら、いくら何でもちょっとひどいんじゃないかなぁと、素人ながらに思います。
なんでこんなことになってしまうのか
以前にblogで取り上げたラブライブもそうなのですが、素人目に見ても、それってどうなのかなぁと思うような処理が行われたまま出荷されるアニソンが世の中にあふれてしまっていて、なーんでこんなことになってしまっているのだろうと、頭を抱えてしまいます。
アニソンのような初動で大きく売り上げて、その後は売れなくなるといった性質を持っている音源は、真面目にmixやmasteringに取り組んだところで、売上が変わらないのではないかと思います。
もしも、誰かが、音が悪いと気づいたところで、それが知れ渡る前に、多くの人が購入済みになってしまっている。それに、音が多少歪んでいたところで、多くの人は気にしない。
従って、そういった細部にこだわったとしても、売上は伸びない。音楽を生活の糧にしている人にとっては、そんなこだわりにはお金にならないし意味が無い、と言うことになってしまうのかなという気がしています。
実際にそう思っている人が居るかどうかというのは分かりません。
でも、それはなんていうか、なんだろう。もし、こういったことが実際にあったとしたならば、購入する人にとっては、あまりに酷だし、悲しいんじゃないだろうか。と、思います。少なくとも、自分は、そろそろ正直辛い。アニメも音楽も好きだから、悲しい。ぶっちゃけ泣きそうだ。
だからこそ、こういうことに気づいたら、もっと綺麗に作って欲しいよ。歪みが気になっている人も居るんだよ、と、伝えることが最初のステップとして必要なんじゃないかなと思いました。
そういう気持ちで、拙い文章ではありますが、だらだらと書いてみました。
以上。
追記
一応、こっちの機材のミスがあった場合のことも考えて、スクリーンショットに使ったwavをリッピングしたのと、PCもCD-ROMもリッピングに用いたソフトも異なる環境で、もう一度確認してはみましたが、同じでした。
うーむ。。
追記 その2 ハイレゾについて
この曲もe-onkyoでハイレゾで配信が行われているため、こちらも購入し確認してみたところ、CDと同様におかしな波形となっていることを確認しました。
適当にイヤホンで確認した感じだと、サンプル単位で、音が一致しており、逆相でぶつけると綺麗に消えます。なので、リマスタリングを行いなおしているわけではなくて、多分、CDの音から量子化ビット数を上昇させるような処理のみを行ったものであると思います。
これについてはかなり面白事案だと思うので、明日にでも検証してみようと思います。
追記 その3 ハイレゾ検証してみました
ハイレゾの音源を改めて確認してみたところ、ちゃんと24ビット分使われていることがわかりました。
ただし、逆相でぶつけると量子化の余り(つまり24bitから16bitへ変換された際の誤差)以外は消えるため、元の音源は同じで、CDで起きている問題はそのまま同じようにハイレゾ音源でも起きているといえます。
先日の追記その2に関しては誤りでした。申し訳ありません。